SAP S/4HANA インストール紹介(第七回目:FPS適用②)
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はじめに
SAP S/4HANA インストール紹介の第七回目となります。
No | 内容 |
---|---|
1 | SAP S/4HANA検証環境構成の紹介とOS設定について |
2 | SAP HANAのインストールとSAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定 |
3 | SAP S/4HANAインストール(SWPM実行) |
4 | SAP S/4HANAインストール後後処理① |
5 | SAP S/4HANAインストール後後処理② |
6 | FPS適用① |
7 | FPS適用② |
8 | FPS適用後後処理 |
9 | その他対応 |
前回に引き続き、SUMの処理を実施します。
今回紹介する対応からは、実際にSAPインスタンスに対して、FPS適用による更新内容が反映されていくこととなります。
FPS適用
⑥SUM(ロードマップステップ:Execution)
SAPインスタンスに対して、ログオンできない状態となり、FPSの適用処理が実施されるステップとなります。
SUMの処理で、最も処理時間が掛かるステップでもあります。
前回の画面から処理を実施すると、Executionステップが開始されます。しばらくは、FPSで更新されるオブジェクトの更新処理などが実施されます。
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今回は処理が実施される中で、以下のエラーが発生したので、状況確認から実施します。
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上記のメッセージからジョブが異常終了していることがわかるので、SAPGUIでクライアント000にDDICでログオンして、エラーが発生しているジョブログを確認します。
※この時点ではアップグレード処理中であるためクライアント000のDDICしかログオンはできません。
該当のジョブログには、以下のメッセージが表示されて、エラーが発生していることが確認できます。
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発生フェーズと確認したエラー内容から、SAP Note 2893581が該当しているため、SAP Noteの適用作業を実施します。
Executionステップの処理中は、DDICユーザ以外でログオンとオブジェクト修正が実施できないため、一度ロック解除を実施して、DDIC以外のユーザで作業できるようにする必要があります。
SAPインスタンスをインストールしているOS上で、以下のコマンドを実行します。
su – <sid>adm
cd <SUM展開先>/abap/exe
tp unlocksys <SID> pf=../var/DEFAULT.TPP
tp unlock_eu <SID> pf=../var/DEFAULT.TPP
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作業用ユーザでクライアント000にログオンして、SAP Note 2893581の適用を実施します。
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適用完了後、ロックを再開させるため、SAPインスタンスをインストールしているOS上で、以下のコマンドを実行します。
tp locksys <SID> pf=../var/DEFAULT.TPP
tp lock_eu <SID> pf=../var/DEFAULT.TPP
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SUMの処理を再開させるため、[Repeat phase <フェーズ名> to continue at the point it stopped]をチェックして再開します。正常に解決されている場合は、同様のエラーが発生せずに次のフェーズに進みます。
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SAP HANA の log_mode が有効になったため、SAP HANA のフルバックアップを取得するように求められています。必要に応じてバックアップを取得し、[Actions completed]にチェックを入れて、次に進みます。
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ダウンタイム終了のメッセージが表示されます。特にここでは対応することはないので、次に進みます。
また、このタイミングからロックが解除され、SAPインスタンスに対してDDIC以外のユーザでログオンやオブジェクト編集が実施できるようになります。
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以下のメッセージが表示されると、Execution ステップの終了となります。Postprocessing ステップの処理に進みます。
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⑦SUM(ロードマップステップ:Postprocessing)
このステップでは、この後実施するSUMの後処理の対応についての確認と、その内容を通知するステップとなります。
SUMのクリーンアッププロセスの開始が通知されるので、次に進みます。
このフェーズ以降、必要なSUMの後処理が実施できるようになります。
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追加するカスタマー移送やソフトウェアのインポートが完了しているかの確認が求められます。
今回は新規構築している環境に対してのFPS適用のため、何も対応することがないので [I confirm that to no more imports are running] にチェックを入れて、次に進み、SUMを完了させます。
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SUMについてのフィードバックを求められますが、回答は必須ではないため、そのままCloseをクリックします。
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以下の画面が表示されたら、SUMでの処理は、すべて完了となります。SUMのメニューからExitをクリックして、SUMを終了させます。
※この時点では、メッセージの案内に従ってCleanupは実施しないようにします。後処理、問題分析に必要なログや処理時間の分析結果等が削除されるため、アップグレードに問題がないことを確認した後にSUMフォルダを削除することを、お薦めします。
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以上で、SUMの処理は完了となります。
次回からは、SUMの後処理の対応についての紹介となります。