2024.12.02

SAP S/4HANA インストール紹介(第七回目:FPS適用②)

はじめに

SAP S/4HANA インストール紹介の第七回目となります。

No内容
1SAP S/4HANA検証環境構成の紹介とOS設定について
2SAP HANAのインストールとSAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定
3SAP S/4HANAインストール(SWPM実行)
4SAP S/4HANAインストール後後処理①
5SAP S/4HANAインストール後後処理②
6FPS適用①
7FPS適用②
8FPS適用後後処理
9その他対応

前回に引き続き、SUMの処理を実施します。
今回紹介する対応からは、実際にSAPインスタンスに対して、FPS適用による更新内容が反映されていくこととなります。

FPS適用

⑥SUM(ロードマップステップ:Execution)

SAPインスタンスに対して、ログオンできない状態となり、FPSの適用処理が実施されるステップとなります。
SUMの処理で、最も処理時間が掛かるステップでもあります。

前回の画面から処理を実施すると、Executionステップが開始されます。しばらくは、FPSで更新されるオブジェクトの更新処理などが実施されます。

今回は処理が実施される中で、以下のエラーが発生したので、状況確認から実施します。

上記のメッセージからジョブが異常終了していることがわかるので、SAPGUIでクライアント000にDDICでログオンして、エラーが発生しているジョブログを確認します。
※この時点ではアップグレード処理中であるためクライアント000のDDICしかログオンはできません。

該当のジョブログには、以下のメッセージが表示されて、エラーが発生していることが確認できます。

発生フェーズと確認したエラー内容から、SAP Note 2893581が該当しているため、SAP Noteの適用作業を実施します。

Executionステップの処理中は、DDICユーザ以外でログオンとオブジェクト修正が実施できないため、一度ロック解除を実施して、DDIC以外のユーザで作業できるようにする必要があります。
SAPインスタンスをインストールしているOS上で、以下のコマンドを実行します。
su – <sid>adm
cd <SUM展開先>/abap/exe
tp unlocksys <SID> pf=../var/DEFAULT.TPP
tp unlock_eu <SID> pf=../var/DEFAULT.TPP

作業用ユーザでクライアント000にログオンして、SAP Note 2893581の適用を実施します。

適用完了後、ロックを再開させるため、SAPインスタンスをインストールしているOS上で、以下のコマンドを実行します。
tp locksys <SID> pf=../var/DEFAULT.TPP
tp lock_eu <SID> pf=../var/DEFAULT.TPP

SUMの処理を再開させるため、[Repeat phase <フェーズ名> to continue at the point it stopped]をチェックして再開します。正常に解決されている場合は、同様のエラーが発生せずに次のフェーズに進みます。

SAP HANA の log_mode が有効になったため、SAP HANA のフルバックアップを取得するように求められています。必要に応じてバックアップを取得し、[Actions completed]にチェックを入れて、次に進みます。

ダウンタイム終了のメッセージが表示されます。特にここでは対応することはないので、次に進みます。
また、このタイミングからロックが解除され、SAPインスタンスに対してDDIC以外のユーザでログオンやオブジェクト編集が実施できるようになります。

以下のメッセージが表示されると、Execution ステップの終了となります。Postprocessing ステップの処理に進みます。

⑦SUM(ロードマップステップ:Postprocessing)

このステップでは、この後実施するSUMの後処理の対応についての確認と、その内容を通知するステップとなります。

SUMのクリーンアッププロセスの開始が通知されるので、次に進みます。
このフェーズ以降、必要なSUMの後処理が実施できるようになります。

追加するカスタマー移送やソフトウェアのインポートが完了しているかの確認が求められます。
今回は新規構築している環境に対してのFPS適用のため、何も対応することがないので [I confirm that to no more imports are running] にチェックを入れて、次に進み、SUMを完了させます。

SUMについてのフィードバックを求められますが、回答は必須ではないため、そのままCloseをクリックします。

以下の画面が表示されたら、SUMでの処理は、すべて完了となります。SUMのメニューからExitをクリックして、SUMを終了させます。
※この時点では、メッセージの案内に従ってCleanupは実施しないようにします。後処理、問題分析に必要なログや処理時間の分析結果等が削除されるため、アップグレードに問題がないことを確認した後にSUMフォルダを削除することを、お薦めします。

以上で、SUMの処理は完了となります。
次回からは、SUMの後処理の対応についての紹介となります。

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