SAPパッチの種類
SAP製品(ソフトウェア)では、SAPソフトウェアに対するパッチとして以下が用意されています。
※今回説明する対象は、SAP Netweaver(ABAP)をベースとしたSAP ERPなどの SAP Business Suite製品、SAP S/4HANAなどのパッチとなります。
※SAP Netweaver(JAVA)ベースの製品、SAP BusinessObjectsなどのビジネスインテリジェンス製品は対象外となります。
① SAP Note
② TCI Package (SAP Note transport-based correction instruction Package)
③ SP (Support Package)
④ SPS (Support Package Stack)
⑤ FPS (Feature Package Stack)
⑥ EhP (Enhancement Package)
(1) SAP Note
SAPソフトウェアの既知のエラーに対する修正および回避方法が記載されているホワイトペーパー。
SAP Noteには「自動修正指示」と「手動修正指示」の2種類が存在する。
● 自動修正指示のSAP Note
SAP Note自体にソースコードの修正コードが添付されており、SAP Note Assistant機能(SNOTE)から
インポートすることで不具合のあるソースコードを修正することができる。
● 手動修正指示のSAP Note
SAP Noteにエラーに対する設定変更などの回避方法が記載されている。
記載されている回避方法を実施するこでエラーを回避することができる。
※SAP Noteには製品のリリース計画やパッチ情報、パフォーマンス分析、コンサルティングなどの情報系のSAP Noteも存在します。
(2) TCI Package (SAP Note transport-based correction instruction Package)
1つのアプリケーション機能に対するSAPNoteの修正指示の集合体。
TCI PackageはTCIのSAP Noteに添付されており、SAP Note Assistant機能からインポートすることができる。
TCIの修正対象は移送機能により修正可能なアプリケーション機能(オブジェクト)が対象となる。
TCIは複数のSPに含まれるSAP Noteの修正指示のセットとなる。有効範囲を超えるSPをインポートするとTCIの全ての修正指示はSPによってインポートされるため、TCIの修正指示は廃止される。
(3) SP (Support Package)
SAP Noteの修正指示の集合体であり、SAPシステムのアプリケーションコンポーネント単位の修正パッチ。
アプリケーションコンポーネント単位でSPが存在し、前回リリースされたSP以降の修正が全て含まれている。
アプリケーションコンポーネントに含まれる複数のアプリケーション機能の不具合を一括で修正することができる。
(4) SPS (Support Package Stack)
SPの集合体。
各アプリケーションコンポーネントのSPのうち、指定の組み合わせでインポートする必要があるものを纏めたもので、SAP社にて動作検証済みのパッチセットとなる。
(5) FPS (Feature Package Stack)
SAP S/4HANA向けの新機能とSAP社で動作検証済みのSPの集合体。
SAP S/4HANAのメジャーリリース後はFPSによって機能の追加と修正を行う。
(6) EhP (Enhancement Package)
SAP EPRなどのSAP Business Suite製品群向けの拡張機能の集合体。
アプリケーションコンポーネント単位で用意されており、インポートすることで拡張機能が使用可能になる。