SAPシステムランドスケープ
SAPシステムを導入する際は、システムを効率よく安定的に稼働させるために、SAP社では「3 システムランドスケープ」構成を基本構成として推奨しています。
本稼働システム (PRD)
ユーザーが本番業務で利用するシステム。
本稼働システムのデータベースには本番業務で利用するデータが格納されています。
障害等によりシステム停止が発生すると、ユーザー業務が止まるため業務影響が大きくなってしまいます。
このため業務を継続して利用できるようにするために、H/Wの冗長化などの耐障害性を考慮したシステムで構成します。
品質保証システム (QAS)
開発システムで開発した業務機能(※)が、本稼働システムで問題なく動作することを確認するために利用するシステム。
※:SAP標準オブジェクトやアドオン機能(アドオンプログラム)
各機能レベルのテストを実施して、業務機能の品質を保証します。
基本的には品質保証システムのデータベースには本番業務で扱う業務データは格納さずに、テスト用のデータを格納します。
業務機能の性能面における品質を保証(テスト)するために、本稼働システムと同等構成が推奨されています。
開発システム (DEV)
各業務機能におけるSAP標準オブジェクトへのカスタマイズや、アドオンプログラムによるアドオン機能の開発および単体テストに利用するシステム。また、ベーシス機能の動作確認でも利用するシステム。
開発システムのデータベースには開発物のデータが格納されています。
障害等によりシステムが停止しても影響が少ないため、本稼働システムほどの耐障害性は考慮しません。
比較的に開発の少ない小規模なSAPシステムを導入する場合は、本稼働システムおよび品質保証システムの役割を持たせた開発システムによる「2 システムランドスケープ」構成を採用することも可能です。
(SAP社により2システムランドスケープ構成もサポートされています。)
しかし、以下の理由からSAP社では「3 システムランドスケープ」構成を推奨しています。
● SAP標準オブジェクト、アドオンプログラムなどを開発システム上で変更すると、
開発システム内で行っているテストや他のオブジェクトに対する変更にも影響する。
なお、本稼働、品質保証、開発を1つのシステムで構成する「1 システムランドスケープ」構成は推奨されておりません。