2024.08.08

SAP S/4HANA インストール紹介(第三回目:S/4HANAインストール(SWPM実行))

はじめに

SAP S/4HANA インストール紹介の第三回目となります。

No内容
1SAP S/4HANA検証環境構成の紹介とOS設定について
2SAP HANAのインストールとSAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定
3SAP S/4HANAインストール(SWPM実行)
4SAP S/4HANAインストール後後処理①
5SAP S/4HANAインストール後後処理②
6FPS適用①
7FPS適用②
8FPS適用後後処理
9その他対応

今回は前回までに設定したサーバ上にSAP S/4HANAをインストールするためSWPMを実行します。
SWPMの正式名称はSoftware Provisioning Managerと言い各種SAP製品をインストールするのに使用されます。

S/4HANAインストール

SWPMを起動しSAP S/4HANAのインストール作業を開始します。
以下の作業はrootで実施するようにします。

メディアの保存先に移動後SWPMを展開するフォルダを作成以下のコマンドを実施します。
mkdir <SWPM展開先フォルダ>
./SAPCAR.EXE -xvf <SWPMメディア名> .SAR -R <SWPM展開先フォルダ>

展開完了後以下のコマンドでSWPMを起動します。
cd <SWPM展開先フォルダ>
./sapinst

起動に成功すると以下のような表示となります。
赤枠に記載されているURLにブラウザでアクセスすることでSWPMの操作が実施できます。

警告が表示されますが、赤枠部分のリンクをクリックしそのままアクセスを継続します。

ユーザ名とパスワードの入力が求められます。
ここで入力するユーザ名とパスワードはSWPMの起動を実施したOSユーザのものとなります。

以下の階層を選択してNextをクリックします。
Software Provisioning Manager 2.0 SP 05 → SAP S/4HANA Server 1909 → SAP HANA Database → Installation → Application Server ABAP → Standard System → Standard System

細かく設定を実施するためここではCustomを選択します。

SAPSIDとSAP Mount Directoryを設定します。
SIDは任意の英数3文字で設定します。SAP Mount Directoryについてはデフォルトの/sapmntとします。

マスターパスワードを設定します。
以降のパスワード設定画面で登録されるユーザのパスワードの初期値となります。以降の入力で特定のユーザのパスワードを変更したい場合はその設定画面で変更可能です。

OSユーザ:<sid>admの作成画面となります。
sapsysのGroup IDがグレーアウトされてIDが79と固定化されていますが、別のGroup IDとしたい場合はSWPM実行前にグループを作成しておくことで変更可能です。
今回はSWPMの提案の内容のままでインストールします。

SAP S/4HANAで使用するテナントDBの情報入力となります。

SAP HANAに前画面で指定したDBSIDのテナントデータベースが存在しない場合は以下の画面が表示されます。
そのまま作成したいのでYesをクリックして続行します。

System Databaseの項目ではSYSTEMDBのユーザSYSTEMのログオン情報を設定し、Tenant System Passwordでは作成されるテナントデータベースのSYSTEMのパスワードを設定します。

インストールを実施するカーネルメディアが配置してあるパスを入力しNextをクリックして読み取りを実施します。

正常に読み取りが実施された場合は、以下の画面のようにStatusがAvailableとなります。

SAP Host Agentの更新について実施するかの選択となります。
今回SAP HANAデータベースをインストール時に自動的にインストールされたものがバージョンが古かったため更新を実施します。

カーネルメディアの時と同様にSAP Host Agentのメディアを指定しNextをクリックします。

正常に読み取りが実施された場合は、以下の画面のようにStatusがAvailableとなります。

SAP liveCacheのインストールについてになりますが、今回はインストールしないのでチェックを入れずにNextをクリックします。

SAP HANA Clientのインストール先についての選択となります。

SAP HANA Clientのメディアをカーネルの時と同様に選択します。

正常に読み取りが実施された場合は、以下の画面のようにStatusがAvailableとなります。

次の画面ではデータベースにインポートを実施するSAP S/4HANAのエクスポートデータファイルの保存先を指定します。

正常に読み取りが実施された場合は、以下の画面のようにStatusがAvailableとなります。

テナントデータベースのデータベーススキーマのパスワードを設定します。
以下の画面ではDBACOCKPITの設定となります。

同様に次の画面ではSAPHANADBの設定となります。

データベース接続情報の保存方法になります。
今回はHANA Secure User Storeに保存します。

今回はSAP HANAデータベースとSAP S/4HANAが同一サーバにインストールされるのでインフォメーションが表示されます。
SAP HANA側のパラメータ global_allocation_limitはすでに設定済みでありますが、SAP S/4HANAのパラメータであるPHYS_MEMSIZEの設定も実施することをおすすめされます。
この部分については別の回で設定を実施します。

インポート時のデータベースパラメータに関する変更が可能です。
今回はデフォルトのままにしておきます。

SAP S/4HANAのPASとASCSのホスト名とインスタンス番号を設定します。

メッセージサーバのポート番号を指定します。

webadmのパスワードを設定します。

SLDへの登録設定になります。
ここではSolution Managerは無いのでNo SLD destinationを選択します。
※ここで登録しなくても別途登録は可能です。

メッセージサーバのAccess Control Listを作成するかの選択となります。

別途ASCSインスタンスにWeb DispatcherとGatewayインストールをするかどうかの選択となります。

セキュリティに関するプロファイルパラメータの設定を実施するかの選択となります。
基本的に新規導入ではチェックは入れずに自動設定されるようにします。実施して問題があるようであればインストール後でも問題のパラメータは無効化できます。

SAPシステムのSecure Storageキーの生成についての設定となります。
基本的にはセキュリティのためにもシステム毎に生成させるように「individual key」を選択するようにします。画面は記載しませんが次の画面で生成されたキーが表示されるため必ず控えるようにします。

インストール完了後のOSユーザのグループからのクリーンアップの設定となります。
基本的に自動的にクリーンアップされるようにチェックを入れたままにしておきます。

最終確認のサマリが表示されるため今まで設定した内容に間違いがないことを確認します。

正常にインストールが完了すると以下の画面が表示されます。
この後も進めていくことでアンケートの入力画面とSWPMの終了画面が表示されますがこのタイミングでインストール処理自体はすべて終了しています。

今回はSAP S/4HANAのバージョン1909で、SWPMも数年前のものの画面で紹介していますが、SAP S/4HANA2023で最近のSWPMでインストールを実施しても基本的に入力を求められる内容は変わりません。
SWPMでは各内容について補足説明もInformation項目に記載がありますので設定する内容の意味がわからない場合もガイドとInformationに記載の内容を確認しながら進めることができるようになっています。

次回からはSAP S/4HANAインストール後後処理に進んでいきます。

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