SAP S/4HANA インストール紹介(第二回目:SAP HANAのインストールとSAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定)
はじめに
SAP S/4HANA インストール紹介の第二回目となります。
No | 内容 |
---|---|
1 | SAP S/4HANA検証環境構成の紹介とOS設定について |
2 | SAP HANAのインストールとSAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定 |
3 | SAP S/4HANAインストール(SWPM実行) |
4 | SAP S/4HANAインストール後後処理① |
5 | SAP S/4HANAインストール後後処理② |
6 | FPS適用① |
7 | FPS適用② |
8 | FPS適用後後処理 |
9 | その他対応 |
今回はSAP HANAのインストールとSAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定を実施していきます。
1. SAP HANAインストール
実際にSAP HANAのインストール作業を実施します。インストールはSAP HANAのインストールガイドに従い実施します。
SAP HANA Server Installation and Update Guide
こちらのリンク先の内容にてインストールに関する方法を確認できます。インストールを実施するバージョン、SPSに合う内容を確認します。
作業はrootで実施するようにします。
(前提)名前解決設定
インストール開始前に自身のホスト名を名前解決できるように、/etc/hostsにSAP HANAをインストールするサーバのIPアドレス、ホスト名を定義します。
① メディア解凍
SAP HANAのメディアを展開します。
メディア保存先に移動後、以下のコマンドを実施します。
./SAPCAR.EXE -manifest SIGNATURE.SMF -xvf -R <メディア展開先>
正常に展開コマンドが実施されれば、以下のような表示となります。
② SAP HANAインストール実施
SAP HANAメディア展開先のSAP_HANA_DATABESEに移動し、以下のコマンドを実施します。
./hdblcm –action=install
今回はコマンドで「–action=install」と指定しているので、すぐにインストールパラメータの入力画面となります。
インストールに必要なパラメータを設定します。
※以下は、SAP HANA 2.0リビジョン46の場合に入力を求められた内容となります。リビジョンによって入力を求められるパラメータに違いが発生します。
・Enter Installation Path (SAP HANAソフトウェアのインストール先)
→ 「/hana/shared」を使用するのが一般的です。
・Enter Local Host Name (インストールするサーバのホスト名を指定)
→ 想定していないホスト名が表示された場合はここで設定します。
・Do you want to add hosts to the system? (追加のホスト名を設定するかの確認)
→ 今回は実施しないので「n」のままとなります
・Enter SAP HANA System ID (SAP HANAのシステムIDの決定)
→ 好みの大文字英数3文字を設定します。
・Enter Instance Number (SAP HANAのインスタンス番号を指定)
→ デフォルトでは00から空いているインスタンス番号がデフォルト値となります。
今回は00と01はSAPインスタンスで使用予定てあるため「02」を明示的に指定します。
・Enter Local Host Worker Group (ワークグループの指定)
→ 今回は何も指定しません。
・Select System Usage / Enter Index (インストールするシステムタイプの選択)
→ テストシステムとしてインストールするので「2」を選択しています。
インストール内容の入力の続き
・Enter Location of Data Volumes (SAP HANAデータベースのデータファイルの保存先)
→ デフォルト値を採用しますので、何も指定しません。
・Enter Location of Log Volumes (SAP HANAデータベースのログファイルの保存先)
→ デフォルト値を採用しますので、何も指定しません。
・Restrict maximum memory allocation? (SAP HANAで使用するメモリ最大量の制限を実施するかの選択)
→ ここは後ほどマニュアルで設定するので「n」を指定しています。
また、指定しない場合は、global_allocation_limitの説明の内容の通りに、
SAP HANAデータベースでメモリを使用することになります。
・Enter Certificate Host Name For Host (証明書を登録するホスト名を指定)
→ 今回は何も指定しません。
・Enter SAP Host Agent User (sapadm) Password
・Confirm SAP Host Agent User (sapadm) Password
(インストール時に設定されるSAP Host Agent用のOSユーザ(sapadm)のパスワードを指定)
→ パスワードを指定します。
・Enter System Administrator (hdbadm) password
・Confirm System Administrator (hdbadm) password
(インストール時に設定されるSAP HANAのOS管理者ユーザ(hdbadm)のパスワードを指定)
→ パスワードを指定します。
・Enter System Administrator Home Directory (OSユーザ(hdbadm)のホームディレクトリの設定)
→ デフォルト値を採用しますので、何も指定しません。
・Enter System Administrator Login Shell (ユーザ(hdbadm)のログインシェルの設定)
→ デフォルト値を採用しますので、何も指定しません。
・Enter System Administrator User ID (SAP HANAのOS管理者ユーザ(hdbadm)のユーザIDの設定)
→ デフォルト値を採用しますので、何も指定しません。
・Enter ID of User Group (sapsys) (グループsapsysのグループIDの設定)
→ デフォルト値を採用しますので、何も指定しません。
インストール内容の入力の続き
・Enter System Database User (SYSTEM) Password
・Confirm System Database User (SYSTEM) Password
(SYSTEMデータベースのSYSTEMユーザのパスワードを設定)
→ パスワードを指定します。
・Restart system after machine reboot? (OS再起動後にSAP HANAを自動起動するかの設定)
→ プロファイルパラメータのautostartの設定になります。
・Do you want to continue?
→上記で表示されているサマリの内容にて間違いがないことを確認して、
インストール開始したい場合は「y」を入力して実行します。
インストールが完了すると、最終的に以下のようにログファイルのパスが表示され、プロンプトが返ってきます。
③ SAP HANAインストール確認
上記で表示されたログの確認を実施し、INFOの項目のみであることを確認します。
※今回は9分程度インストールが完了。色々なスペックでインストールしていますが、大体5~10分程度でインストールは完了しています。
warningやerrorが表示されている場合は、原因を確認して対応する必要があります。
④ SAP HANA接続確認
インストールを実施したSAP HANAに正常に接続できるかを確認します。
今回は後続の作業もあるためHANA Studioを使用して接続確認を実施します。
以下のようにoverviewの画面が正常に表示できることが確認できれば問題ありません。
2. SAP S/4HANAとの同居の場合のメモリ設定
現在の状態だとSAP HANAが搭載メモリのほとんどを使用するようになっているため、SAP S/4HANAアプリケーションインスタンスがメモリを使用できるように、SAP HANAで使用するメモリ量の上限値を設定します。
インストールが完了した時点では、Overview画面の赤枠の部分を確認することで、SAP HANAで使用するメモリの上限値がどのようになっているのか確認できます。
以下の画面で、現在はメモリの上限値は「117.48GB」であることがわかります。
今回は、この値を「110GB」に制限することで、余剰分のメモリをSAP S/4HANAアプリケーションインスタンスに割り当てるようにします。
Configurationタブを開き、Filterに「global_allocation_limit」と入力して、Name項目に表示されたパラメータをダブルクリックします。
SystemのNew Value項目に「112640」と設定し、Saveボタンをクリックします。※この値はMB単位となります。
System項目に設定した値が入力されていることを確認します。
パラメータを反映させるため、一度SAP HANAを再起動します。
再起動完了後に再度HANA Studioで接続して、Overviewの内容を確認することで、SAP HANAにて使用するメモリの上限値が変更されたことが確認できます。
以下の画面で、メモリの上限値が「117.48GB」であったのが、設定後は「110GB」に変わっていることが確認できます。
以上で、SAP HANAインストールとHANAで使用するメモリ上限に対する設定は完了となります。
次回はSAP S/4HANAインストール(SWPM実行)となります。