2024.08.22

移送について

今回は、SAPシステムにおける移送について、ご説明して行きます。

※今回説明する移送は、ABAP PlatformベースまたはSAP Netweaver ABAPベースのSAPシステムが対象となります。

『移送』とはシステムランドスケープ内におけるシステム間の変更内容を反映する仕組みで、システム間の整合性を保つことができる仕組みとなります。

SAPシステムでは、カスタマイジングやアドオン開発(アドオンプログラムやテーブルなど)、リポジトリオブジェクトへのモディフィケーションなどオブジェクトに対して変更作業を行うと、変更内容が移送依頼で管理されます。またSAP Note適用による修正内容の反映時も移送依頼で管理されます。

開発環境でオブジェクトの変更時に取得した移送依頼を品質保証環境、本番環境に反映することで、オブジェクトのシステム間での整合性を担保することが可能となります。
なお、移送依頼は移送依頼番号(K9xxxxx)という一意の番号で管理されます。

移送依頼の適用

次に開発環境で取得した移送依頼を品質保証環境、本番環境への反映について説明していきます。

開発環境でオブジェクトの変更時に取得した移送依頼をリリース(変更内容を確定)することで、OS上の移送ディレクトリに変更内容を記録した移送依頼ファイルが作成されます。
品質保証環境、本番環境にその移送依頼ファイルを配信し、適用(インポート)することで品質保証環境、本番環境にオブジェクトの変更内容を反映することができます。
移送依頼ファイルは、移送管理システムにて移送ルートを定義することで、 品質保証環境、本番環境に配信されます。

移送管理システムについて

移送管理システム (TMS: Transport Management System) は、移送ルートで定義されたSAPシステム間の移送の編成、実行、管理を行う機能となります。

■移送ドメイン

移送管理システムの管理対象となるSAPシステムのランドスケープ

■移送ドメインコントローラ

移送ドメイン内の移送ルートの設定やRFC接続の設定などを実行できるSAPシステム

■移送ルート

移送ドメイン内での移送依頼を適用するルート。移送ルートには以下の2つのルートが存在します。

・コンソリデーションルート

開発環境と品質保証環境を繋ぐ移送ルート。
コンソリデーションルートの開始は開発を行う環境である開発環境を指定する必要があります。
開発環境で移送依頼をリリースするとコンソリデーションルート上の品質保証環境に移送依頼ファイルが配信され、移送依頼のインポートが可能となります。

・デリバリルート

品質保証環境から本番環境への移送ルート。
コンソリデーションルートで品質保証環境にインポートされた移送依頼が本番環境にインポートすることができます。

■移送グループ

移送ディレクトリを共有する単位。
移送グループごとに移送ディレクトリを共有することができます。(共通移送ディレクトリ)

SAPシステムでは、このようにオブジェクトへの変更を移送依頼で記録して管理しています。この移送依頼を他のSAPシステムに適用することで、変更内容やアドオン開発したオブジェクトを反映することが可能となります。
また、移送管理システムという機能によって移送依頼の適用を管理することでランドスケープ内のオブジェクトの整合性を担保することが可能となります。

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