ベーシス作業内容
SAPシステム導入/構築におけるベーシスエンジニアの一般的な作業内容を説明します。
各工程でのベーシスエンジニアの作業内容は以下の通りとなります。
1.要件定義
(1)非機能要件の確定
・非機能要件(可用性、性能・拡張性、運用・保守性、移行性、セキュリティ、システム環境・ エコロジー)に対して、非機能を確定させる。
・非機能要件に対して、導入するSAP製品で実現可能かのFit&Gapを行う。
・導入予定のSAP製品の前提条件(サポートOS/DB/端末のバージョンなど)を調査する。
・ミドルウェアとSAP製品の関連性(サポート有無、オプション要否など)を調査する。
(2)SAPシステムサイジング
・H/W構成を確定させるために、SAPシステムのサイジングを実施する。
・サイジングインプットデータ(※)をもとにH/Wベンダーにサイジングを依頼する。
・H/Wベンダーからのサイジング結果をもとにアドオン機能、安全率などを考慮してCPU数、メモリ量、データ量を算出する。
※新規導入の場合は伝票数、保存期間、ピーク時間など。テクニカルバージョンアップ/移行の場合は既存SAPシステムのSAPS値(※1)など。
2.設計
(1)基本設計
・非機能要件、SAPサイジングの結果をもとにSAPベーシス機能の設計を行う。
・基本設計では、主に要件に沿って実装・設定するSAPベーシス機能を選択し、その機能の設定値を決めるための方針を決定する。
(2)詳細設計
・基本設計に従い、実装・設定するSAPベーシス機能の詳細な設定値(パラメータ)を決定する。
(3)運用設計
・非機能要件にけるシステム運用に関する要件をもとにSAPシステムの運用を設計する。
・主にバックアップ/リカバリ、監視(障害・性能)、ログ運用などの自動運用や、システムを保守するための定期的な保守作業などの手動運用を設計する。
3.開発
(1)システム構築
・各設計をもとにSAPシステムを構築するための構築手順を作成する。
・ランドスケープに沿って、SAPシステムを構築する。
(2)維持運用
・構築したSAPシステムの維持運用(移送適用、クライアント作成、ユーザ登録など)を実施する。
(3)その他開発
・運用に必要なツール類(マクロ、シェル、バッチなど)を作成する。
4.テスト/移行
(1)各種テスト
・ベーシスで構築・設定した製品、機能に対してテスト(性能テスト、運用テストなど)の計画、準備、テストの実施を行う。
(2)運用引継ぎ
・運用設計をもとにシステム運用に必要な運用手順を作成する。
・システム運用を運用業務を担当する会社(顧客または顧客から委託された会社)に引継ぎを実施する。
(3)GLC(解析セッション)実施
・SAP社SAP GoingLive Check(解析セッション)サービス(※2)を受ける。
・SAP社へのサービス申込、日程調整、サービスを受けるための前提設定のSAPシステムへの反映を実施する。
・SAP社よりGLC結果を受け取り、内容の評価(SAPシステムに適用が必要かどうか)を実施する。
5.保守
(1)保守運用・不具合対応
・定期、臨時保守の運用作業の実施およびサポート(手順提供、立ち合い等)を行う。
・本稼働後に発生した障害・不具合における原因・対策の調査をする。
(2)GLC(確認セッション)実施
・SAP社SAP GoingLive Check(確認セッション)サービス(※2)を受ける。
・SAP社へのサービス申込、日程調整、サービスを受けるための前提設定のSAPシステムへの反映を実施する。
・SAP社よりGLC結果を受け取り、内容の評価(SAPシステムに適用が必要かどうか)を実施する。
※1:SAPS値(SAP Application Performance Standard)・・・SAP社が定めるSAPシステムにおける性能値。
※2:SAP GoingLive Check・・・SAP社が提供する本稼働前後の支援サービス。SAPアプリケーションやデータベースの設定、ワークロードを分析し、最適なパラメータを提供してくれるサービス。